マーブル女学院


創立者、TOMOSUKEによって建てられた「マーブル女学院」
そこは限られた特別な乙女達のみが通うと言われている。
そして、今朝も乙女達は学び舎へ向かう―――。

「ごきげんよう、生徒会長。」
下駄箱で、副会長のFURIFURI '60が、生徒会長であるMONDO STREETに声をかける。
「ごきげんよう。FURIFURI '60。」
「今日は転校生が来るらしいわよ。」
その言葉にMONDO STREETは、そうだったわねと返し、
「それも・・・・・本当に「特別な」転校生。」
と、付け加えるかのように言った。
「あら、興味あるのかしら?生徒会長さま?」
茶化すようにFURIFURI '60が言う。
「・・・いいえ、別に。」

マーブル女学院へ続く道を、その転校生Tizona d'El Cidは歩いていた。
学校の生徒はほとんどが車で登校しているのだが、
彼女は初めて通う学校の道を歩きたいという理由で、今日は歩いて登校してる。
ただ歩くだけでなく、街路樹や家並を眺め、風を感じ、空を見上げ歩いている。

校門を抜け、Tizona d'El Cidは校舎を見つめた。
(今日から私が通う学校・・・・。)
彼女は心の中の色々な感情を感じながら、じっと校舎を見上げた。
すると、

――――にゃあ

「?」
Tizona d'El Cidの足元に白い猫が一匹いた。
人馴れしているようで、逃げる気配はない。
「わぁ・・・かわいー。どこから来たのかな?」
しかし、Tizona d'El Cidが撫でようとすると猫は走り去った。
「あっ・・・・待ってよ!」
思わずTizona d'El Cidは追いかけていた。

「どうしたの・・・?にゃんだふる55。」
中庭まで走り、猫は名を呼ぶ者に近づいた。
その人間は近寄ってくる猫を抱き上げる。
「・・・・あなたはだあれ?」
彼女は猫を追って来たらしいTizona d'El Cidに声をかけた。
Tizona d'El Cidはずっと走っていたらしく、息切れを起こしている。
「はぁ・・・はぁ・・・ご、ごめんねー・・・・全然、怪しい者じゃないから・・・」
猫を追いかけてきた上、他人にそのように言われると逆に怪しく感じるが、
「彼女」は気にせずTizona d'El Cidにハンカチを差し出した。
「・・・え?」
「・・・・汗、すごいから・・・・。」
「あ、そっか。ごめんね、ありがと!」
と、Tizona d'El Cidはハンカチを受け取り、折り畳まれたまま汗を拭った。
「・・・にゃんだふる55、知ってる子なの・・・?」
「その猫ちゃんにゃんだふる55っていうの?あ、あたしTizona d'El Cidっていうんだ!ティゾナでいいよ!」
猫――にゃんだふる55に話しかける「彼女」にTizona d'El Cidは話しかけ、
ついでに自分の名を名乗った。その気さくな雰囲気に心を許したのか、「彼女」も微笑み、
「・・・・私は、カゴノトリ。にゃんだふる55・・・・抱いてみる?」
と名乗った。

それからしばらく、彼女達は中庭で会話をした。
主にTizona d'El Cidが喋り、カゴノトリは相槌を打つのみだったが。
すると、予鈴を知らせる鐘が鳴り出した。
「あ!やばっ・・・あたし予鈴までに生徒会室行ってなきゃだめだった!」
「・・・・そうなの?ごめんね・・・・私が足止めしたみたいで・・・・。」
カゴノトリは申し訳なさそうに言った。
「ううん!楽しかったよ!・・・カゴノトリちゃんは教室行かなくていいの?」
「・・・・うん、良いの・・・・どうせ朝学活なんだし・・・本鈴までに行けば良いから。」
「ふーん・・・・あ、じゃあ、あたしそろそろ行く・・・・・って生徒会室どこー!?」
「・・・・案内しようか?」

生徒会室では、MONDO STREETがTizona d'El Cidを待っていた。
「・・・・遅いわ。」
時間にうるさい気のある彼女は時間通りに来ないTizona d'El Cidに苛立ちを感じていた。
その時、
どかっっ!!
「すいませんっ!遅れました!Tizona d'El Cidです!」
息切れして入ってきた彼女に、生徒会長は言った。
「・・・ドアをサンバキックして入って来ないこと。」


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