MISS YOU
11月下旬 某ゲーセン
Long2設定のドラムをある女性プレイヤーはプレイしていた。
MISS YOU「(この人、さっきから私ばかり演奏してるわね…)」
< このまま〜どこかへ〜行ってしまいたいよ〜♪
♀プレイヤー「……」
ミスユー「ねえ、あなた。別にFCも出来てるしパフェ率も高いのにどうして私を連奏してるの?」
ミスユーの問いに女性プレイヤーは薄っすらと涙を浮かべ、ただただひたすらにミスユーをプレイし続けた。
もう20回はとうに越えただろうか、ミスユーは彼女に尚も問い続けた。
ミスユー「なにかあったの?悩み事があるのなら、私をプレイするよりもっと明るい曲をプレイした方が…」
すると彼女は…
♀プレイヤー「………から」
ミスユー「え?」
♀プレイヤー「彼がね、この曲の内容みたいに死んでしまったの。
…私にギタドラを教えてくれた彼がね、別れを突然切り出したの」
ミスユーは彼女の答えに息を飲んだ。
ミスユー「別れを切り出したって………まさか」
♀プレイヤー「そう。彼が別れを切り出した理由がね、彼の命が病のせいで短いんだって。
その理由さえも、彼が亡くなって、彼のお母さんから伝えられたの」
ミスユー(そんな…偶然にしても……)
尚も彼女は語り続けた。
♀プレイヤー「なんか信じられないよね。
ついさっきまで居たはずの人がさ、あっという間に逝っちゃって……」
ミスユー「…………」
♀プレイヤー「……ごめんなさい、もうしばらく、あなたをプレイし続けてもいいかな?」
ミスユー「…勿論よ、とことん最後まで付き合いますよ」
♀プレイヤー「…ありがとう」
その日のゲーセンは他では想像がつかない程静寂を保っていた。