知ることと知らないこと・4


DD兄弟家にて。
泣きながら買出しを済ませたDD7。
すでに泉父さんは帰っていた。


DD「父さん、もうビール無いじゃあないか!」
泉「いいじゃないか、また帰ってくる機会なんてそんなに無いしさ」
DD3「いざとなればまた、DD7にでも買出しに行かせるし」
買出しに無理やり行かされたDD7は、もはや
おびえきった小鹿のようにソファーに小さくなって座っている。
台所ではDD4が料理をしている真っ最中だ。
泉とDD3は野球中継を見ている。
そろそろ、台所からいい匂いがしている時間帯だが。

ズンズンズンズーンズズンズン。
誰かの携帯の着信音だ。
ちょっと着信音にしては洒落が混じっているような音だが。

泉「もしもしぃ? 俺だよ俺、むっちゃんだよぉ〜♪」

もう完全に酔っているのか、とDDはため息をついた。
が、次の瞬間に彼の酔いは一気に醒めた。

泉「…本当に? 分かった、すぐ行く」
ピッ。
携帯をポケットにしまって、突然にも
彼はすっと立ち上がって玄関のほうへ向かった。

DD2「ちょ、ちょっと父さん、いきなりどうしたの?」
泉「急用ができた。仕事の関係の人から電話があってな」
DD6「お酒飲んでたけど、いいの?」
泉「ああ、大丈夫だ。酔いも醒めるようないい話だったんでな」

玄関のドアを開けて、泉はどこか走っていった。
と、家の車庫の前で何か言っていた。

DD4「父さん、家の外で何言ってるの?」
DD2「『俺の晩飯も残しとけ』だってさ」
DD6「あんなにお酒飲んだのに、まだ食べるって…」

DD6が、泉の鉄の胃袋を感じ取ったような気がした。

タイピ「ただいまー」
図書館からタイピは帰ってきた。
居間にはゆら姉と、もう一人誰かいる。
遠くにいるせいか、よく見えない。
 「おっかえりぃ! 我が愛する妹よぉ!」
タイピ「ちょ、抱きつかないでよ、苦しいって、くるし…」
ゆら「リースト姉さんもよして上げなさいって」

リースト姉さんこと、The least 100 secはタイピにかけていたプロレス技をやめた。
元々、この姉妹の長女ではあるが、実際には
ギタドラ以外にもビーマニ、ダンレボなどといった別の職場でも
働いているために、なかなか家に帰ることが出来ない。
そのため、家内では事実上、次女のたまゆらが一応ながらトップというわけである。

リースト「しばらく別んとこでやってたからさ、もうね。
     こっちにしかこの技かけられる人いないのさ。あっちの人、冷たいしさー」
タイピ(冷たい冷たくない以前に、プロレス技なんてかけられたくないのが普通でしょ?)
リースト「従兄弟のデパチャとイストとかは元気?」
ゆら「姉さん、『とか』って言うとまた怒りますよ? あの人たち」



デパチャ「へっくしょん!」
イスト「どうしたの? 風邪?」
デパチャ「あ、いや、そういうわけじゃないんだけどさ」
ボビス(なんか、悪寒を感じるなぁ。プロレス技かけられそうな悪寒…)


リーストは台所の冷蔵庫から飲み物を取り出していた。
家に来るまでに喉が渇いたんだろうか。
リースト「そういえば、コンチェと落書き帳は?」
ゆら「コンチェは弐寺のほうで、落書き帳はどっか行っちゃいましたよ」
タイピ「どっか……って、知らないの?」
たまゆらは首を横にふった。
大方、仲のよい年齢層の近い友達と遊びにいったんだろう、という
意味がこめられていた。タイピ「ただいまー」
図書館からタイピは帰ってきた。
居間にはゆら姉と、もう一人誰かいる。
遠くにいるせいか、よく見えない。
 「おっかえりぃ! 我が愛する妹よぉ!」
タイピ「ちょ、抱きつかないでよ、苦しいって、くるし…」
ゆら「リースト姉さんもよして上げなさいって」

リースト姉さんこと、The least 100 secはタイピにかけていたプロレス技をやめた。
元々、この姉妹の長女ではあるが、実際には
ギタドラ以外にもビーマニ、ダンレボなどといった別の職場でも
働いているために、なかなか家に帰ることが出来ない。
そのため、家内では事実上、次女のたまゆらが一応ながらトップというわけである。

リースト「しばらく別んとこでやってたからさ、もうね。
     こっちにしかこの技かけられる人いないのさ。あっちの人、冷たいしさー」
タイピ(冷たい冷たくない以前に、プロレス技なんてかけられたくないのが普通でしょ?)
リースト「従兄弟のデパチャとイストとかは元気?」
ゆら「姉さん、『とか』って言うとまた怒りますよ? あの人たち」



デパチャ「へっくしょん!」
イスト「どうしたの? 風邪?」
デパチャ「あ、いや、そういうわけじゃないんだけどさ」
ボビス(なんか、悪寒を感じるなぁ。プロレス技かけられそうな悪寒…)


リーストは台所の冷蔵庫から飲み物を取り出していた。
家に来るまでに喉が渇いたんだろうか。
リースト「そういえば、コンチェと落書き帳は?」
ゆら「コンチェは弐寺のほうで、落書き帳はどっか行っちゃいましたよ」
タイピ「どっか……って、知らないの?」
たまゆらは首を横にふった。
大方、仲のよい年齢層の近い友達と遊びにいったんだろう、という
意味がこめられていた。

ゆら「タイピはどこへ行ってました?」
タイピ「図書館にね。 調べ物があったの」
そう言って、タイピはふと考えた。
――もしかしたら、リースト姉さんなら父さんのこと、知ってるかもしれない。
リーストは秘密を多く持っている人だった。
軽い秘密であれば、コンチェのおやつを盗み食いしたり
ひどい場合には他の姉妹たちに内緒で何十万とする高すぎるくらいの
時計を購入していた、というケースもあった。
だから、父さんのことも何か秘密にしていることがあるかもしれない。

タイピ「ねえ、リースト姉ちゃん」
リースト「ん? ふぁに?」
リーストは冷蔵庫上のおやつ収納箱から
勝手にクッキーを取り出して食べていた。
クッキーの箱には『落書き帳の!!!』とご丁寧に書いてあったのにもかかわらず、である。

タイピ「……父さんのこと、何か知ってる?」
途端にリーストの表情が変わった。
眉間にしわをよせて、ふぅと一息ついてこう言った。
リースト「もうここにはいないよ、あの人は」
ゆら「……」
タイピ「そんな…嘘でしょ?」
リースト「………」
タイピ以外の人全員、黙り込んでいる。
タイピ「嘘でしょ? ねぇ嘘でしょ?」
リースト「嘘なんて…つくわけ…」
タイピ「嘘だ、嘘に決まってる! そうに違いないわ!!」
泣きながらタイピは玄関のドアを勢いよく開けた。
涙声で叫んだ声が、部屋の中でこだました。


ゆら「姉さん」
リースト「……ごめん、ゆら」
ゆら「あんな遠まわしな言い方する人がどこにいますか!!」
リースト「ここにいる」
たまゆらはリーストの頬を思いっきりビンタした。
ピシッという音が響く。
リースト「冗談だってば、とにかく本当のこと言いに行こう」
ゆら「全く、今度ばかりは冗談で済まされませんよ…」


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