V3のでる頃に・その6


祟りなんか、信じない。
・・・だけど・・・・毎年、ロケテの期間に何かが起こるという「意思」だけは
確実に、・・・・ある。

トッカータ「それで・・・その次のロケテでは誰が削除されるんですか?」
サッカリン「さぁてね・・・トッカータくんは誰だと思うかな?」
トッカータ「は・・・・・はぁ!?はぐらかさないで下さいよ・・・・!
     俺は結構、真剣に・・・・!」
カゴノトリ「まぁまぁトッカータくん、落ち着いて。」
女の人になだめられ、俺は自分が取り乱していたことに気づく。
サッカリン「別にはぐらかしたつもりは無いんだよ。トッカータくん。
     つまり・・・・その次のロケテってのはつまり・・・、」

カゴノトリ「今日よ。」

サッカリンさんの躊躇をあっさりと女の人が片付けた。
・・・・・・じっとりとした汗を誘う、嫌な風がどっと吹く。

今日・・・誰かが削除される?
4年も連続してロケテの日に曲が削除されている。
そんな偶然があるんだろうか。

まさかこのギタドラに、本当に祟りがあるっていうのか?

カゴノトリ「・・・やっぱり刺激が強すぎたかしら?」
トッカータ「い、いえ・・・そんな、全然・・・・。」
精一杯強がったつもりだったが、かえって狼狽ぶりを露呈するだけだ。
サッカリンさんはそんな俺の様子を見て、少し後悔しているようだった。
そしてひとつ息を吐くと、いやに明るく振舞いながら言った。
サッカリン「まさかトッカータくんくん、たたりなんてしんじてるわけじゃないだろ?
    もう何も起こらないよ。今度こそね。」
そんなサッカリンさんの口調と言葉に、俺は段々と冷静さを取り戻していった。

カゴノトリ「・・・・さて、と。そろそろ私は戻らないとね。」
サッカリン「おっと!俺も少々長く喋り過ぎたかな。」
あれだけいた大勢の人々の姿はすっかり減っていて、
今ではロケテの余韻に浸っている何組かの曲たちが目に留まるだけだった。
小一時間くらい話し込んでいたらしい。
カゴノトリ「・・・トッカータくんもお友達と一緒に来たんでしょ?
     みんなを探したら?」
トッカータ「そうだった!みんな、俺のことを探してるかもしれない!」
サッカリン「はははは!女の子に探させるなんて
     なかなかの罪人だねぇ。」
それからみんなバラバラに帰り、
俺はすぐにジェッ娘たちと合流できた。

誰もが微塵ほども口にしない祟りの話。
・・・・・知れば知るほどに不安になる、今夜。

みんなも・・・表情に出さないだけで、きっと不安に思っているに違いない。
だが、何も起こらなければそれはただの杞憂だ。
何も起こらないさ。不吉なことなど、何も。

ポプリ「おっはよ〜!トッカータ、昨日はお疲れ様!」
トッカータ「ポプリこそお疲れさんな!昨日は楽しかったぜ。」
ジェッ娘「おはようトッカータくん。昨日はお疲れさま!」
何もかもが全ていつものままだ。
欠けている仲間もいないし、雰囲気が変わったところも無い。
昨夜からずっと頭の隅でもやもやしていたものが一気に晴れる。

昼過ぎ、やはり部活の召集がかかった。
昨日の疲れもあるだろうから今日は大人しく・・・・
なんて思いやりはここにはない!

ポプリ「今日は・・・・本格派の推理ゲームで行こう!」
と、ポプリは海外物のボードゲームを出した。
ジェッ娘「・・・・ま、負けないからね。」
スウィート「ボクはこのゲーム、苦手じゃないですよ。」
どうやらジェッ娘はこのゲームが苦手みたいだった。

ルールは事件の犯人と凶器、犯行現場の3つのカードを当てられたら勝ち。
互いに手持ちのカードを質問していき、誰も持っていないカードが犯人や凶器というわけである。
結構頭を使うから、メモが必要なようだ。
ちなみに罰ゲームはパシリ。ビリがみんなから頼まれたものを買いに行くのだ。
・・・・しかし、この仲間だ。何を買わされるかわからないから、やはり勝ちに行かなければならない。

数分後・・・。
ポプリ「よっしゃ!犯人確定!!」
トッカータ「なに!?もう!??!」
ポプリ「犯人は「スウィートちゃん」!凶器は「毒物」で犯行現場は「医務室」!どう!?」
隠していた正解のカードを取り出し、ポプリの推理を検証する。
ジェッ娘「正解だねっ!!」
落書き「き〜!あと一手だったですのに〜!
    「毒物」か「ピストル」かわからなかったでございますわ〜!!」
スウィート「ピストルなんか使わないです。毒物でじわりじわりがいいのです。」
スウィートちゃんがソフトな顔してハードな事をさらりと言ってのけた。
みんなであと少しだったのにと大賑わいしている。
蚊帳の外なのは俺とジェッ娘だ。

ジェッ娘「・・・トッカータくんはどうだったかな?ジェッ娘は全然・・・。」
トッカータ「安心しろ。俺もさっぱりだ。
     あ、ごめん、ちょっとトイレ行って来るな。」

しばらくの間、混乱して熱くなった額を覚ましていると、向こうから誰かがやってきた。
??「トッカータくんですか?トッカータくん。」
・・・その人物はギタドラの曲でないことは間違いなかったし、初対面なのも間違いなかった。
トッカータ「そうですよ。・・・どちら様ですか?」
??「私の車はエアコンが効いてますから、そっちでお話しましょう。ここ、暑くありません?」
男はこちらの問いかけをあっさり無視すると、近くに停まっている車を指差し、とっとと歩き出した。
トッカータ(冗談じゃないぞ!こんな見ず知らずのおっさんに付き合う気もないし・・・しかも車に乗れだと!?)

??「捕って食やしません。どうぞ。」
車の後部座席を開けて俺に呼びかけた。
気に入らない親父だが、話の内容も気になる。
・・・昔からこういう切り出し方をする話にはろくなものがないとは知りつつも。
トッカータ「で、俺に何の用ですか?」
お返しに俺も相手の問いかけを無視して切り出すことにする。
男は胸ポケットから手帳を取り出しぱらぱらとめくると、そこに挟まれた一枚の写真を取り出した。
??「この男性のことで、ご存知のことがあったら教えてください。」


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