Little Courage・3


ギタドラにて。

ピチュン
プレイヤー「DD7は無理か…身の程知らずだったな」
DD7「実力ついたら挑戦してくださいね」

時計はもう終業時間を指していた。

a view「お疲れ様でした〜」
DD7「ご苦労様です」

ちなみに、『お疲れ様』とは目下の人に言う言葉であり
『ご苦労様』という言葉は目上の人に言う言葉である。
実際には、DD7のほうが立場も難易度も上であって
この二つの言葉を言うべき人物は逆なはずである。
しかし、彼は「そんなことは出来ない」と言っているのだ。

待機室に戻り、自分の荷物をさっと確認する。
あまり荷物は少ないが、几帳面な正確が分かる。

待機室のドアを開ける音がした。
それがあまり親密な仲でなければさほど気にならなかっただろうが
DD7は一目で誰か分かった。

DD7「落書き帳さん!」
落書き帳「な、なによ、いきなり…」
DD7「つい大声出しちゃいました、すいません…」
落書き帳「いえ、そんなに気にすることじゃ」

DD7は深く落書き帳にお辞儀をした。
つられて彼女も、ぺこりと頭を下げた。
普段は気にしていなかったが、同じ待機室だったのだ。
今までは少しも気にしていなかったが、ああそうかと思い出した。

DD7「えっと、今度どこか、遊びに行きません?」
落書き帳(と、唐突ね…)

返答に困る落書き帳。
そこで妙案を思いつく。

落書き帳「それはつまり、『デート』に誘っているの?」
DD7「( д )  ゚ ゚」
落書き帳「どうなの、はっきり言って頂戴」
DD7「……」
落書き帳(コイツイジメルノオモシレー。
     モットイジメテヤローカナー)

当然ながら、落書き帳は困惑する彼を
どういじめてやろうかとしか考えていない。
真剣に考えている彼を無視して。

DD7「そぅです…」
落書き帳「アンダンテ? 聞こえないなぁ」
DD7「そ、そうです、『デート』に誘っているんです」
落書き帳「うん、わかったわ」

今までよりも声色を少しやわらかくして落書き帳は答えた。
落書き帳はこの数十秒間で、彼をいじめることに
とてつもない快感を得たらしい。

落書き帳「じゃあ、これ私の携帯の電話番号ね」

彼女はメモ用紙に数字を書いて渡した。
そしてDD7に後姿を見せて、ドアを開けていった。
願わくば、この番号が嘘であらぬように…。


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