Little Courage・その5


プログレ一家、早朝にて。
時間としてはまだ一部の特殊な人を除いては
皆、眠っているような時間帯だ。
しかし、この家にはそんな早朝から
一人だけ動く人物がいた。

落書き帳だ。
彼女は物静かな家の中で一人だけ動いていた。

 「どこ行こうとしてるの? 落書き帳」
落書き帳「!!」

それに気付いた一人。
同じプログレ一家のConcertino in Blueこと
コンチェであった。

コンチェ「どこ行こうとしてるの? 落書き帳」
落書き帳「あ、お、おはよう、姉ちゃん…」
コンチェ「おはよう、ってまだ6時前だよ?
   随分と早起きだね…」
落書き帳「ま、た、たまに早起きしてみても、いいもんだなーって」

声を聞けば聞くほどに、落書き帳の動揺が伺える。

コンチェ「で、どこ行こうとしてるの?」
落書き帳「ネ、ネコよ、ネコ!
     ここの近所にかわいらしい三毛猫がいてね、それでね」
コンチェ「……ネコに会いに行くのに、随分とおしゃれするんだね」
落書き帳「!!」

コンチェには見透かされているようだった。
ここ最近、DD7との朝の散歩の回数も自然と増えてきた。
そのため、他の人に気付かれないようにこっそりと
行動する精神が薄れ、気付かれてしまった。

コンチェ「落書き帳、何か隠してるでしょ。
   正直に話しなさい」
落書き帳「うるさいわね! 何をしようが私の勝手でしょ!?」

落書き帳はそう怒鳴ると
玄関のドアを蹴り飛ばすようにして開け、走っていった。

リースト「何なのよ、こんな時間から…」
コンチェ「リースト姉さん、実は、」
ゆら「騒々しいですね? 何があったんですか…眠い」
タイピ「誰よ、ドア蹴っ飛ばした人は?」

その騒々しさに、次々と人が起きてくる。

コンチェ「…というわけで」
リースト「そーゆーことなんだ」

とりあえず、全員を居間に集めて
コンチェは一通りの説明を終えた。
たまゆらはいつの間にか、全員分のお茶を用意していた。
用意がいいのか悪いのか…。

タイピ「落書き帳、何があったんだろう?
    もしも変な事に巻き込まれていたら…」
コンチェ「そうだよ! 取り返しのつかない事になる前に
   止めなきゃ!」

次第に不安が溜まっていく。
もしものことがあったら。
大事な家族に、大変なことが起きたら。

リースト「アイツが帰ってきたら、まずは事情聴取。
     応じない場合は私のスクリュードライバーで強制的に」
タイピ&コンチェ(また新しい技を習得したのか…)

ゆら「大丈夫ですよ、あの子は」

一人だけ意見が違っていた。
たまゆらだった。
彼女は何も考えていないわけではない。
タイピやコンチェ、リーストとは違う考えを持っているのだ。

ゆら「あの子はしっかりしてるから、別に変なことには巻き込まれてませんよ」
コンチェ「ゆら姉、なんでそんなこと言えるの?」
ゆら「あなたたちよりレベル高いじゃない」
タイピ(気にしてるのに…)←赤DM93
コンチェ(…そう、なのよね…)←赤DM96
ゆら「それはともかくとして…」

ゆら「今、私たちがあの子に何か言わせちゃったら、きっとあの子は
   私たちをすごく嫌うと思います。
   だから、今のこの時間だけは、あの子を『大人』にしてください」
リースト「で、でも、ゆら!」
ゆら「わ か り ま し た ね ?」
タイピ&コンチェ&リースト「ハイ、ワカリマシタ」

ゆらは年を召された人にある、特有のスキルみたいなのがあった。
僅かな時間、僅かな労力でいかなる人物をも黙らせるスキル。
一応ながら、満場一致の意見は得られた。

落書き帳は確かに子供だ。
一人で変な時間帯を歩くのは、まだとても危険だ。
だけど彼女は、自分の意思で何かをしている。
それを邪魔してはいけない。
ゆらは飛ぼうとする雛鳥を見る親鳥のような心境だった。

ゆら「危険なことがあれば、すぐに私たちも出ますが」
タイピ「もちろん、ワカッテマスヨ」
コンチェ「はい、ワカッテマス」
リースト(コンチェことコンちゃんは確か『落書き帳はおしゃれしてた』って言ってたな。
     つまり、アイツにも春が…。
     ……ふぅ。
     どうやらそういうことらしいな)
ゆら「リースト、どうかしかした?」
リースト「…アイツめ…」
コンチェ「どうしたの、姉ちゃん?」
リースト「いつになったらこの私に春到来すんじゃこの○○がぁぁぁぁぁ!!
     従兄弟のデパチャに先越されるわ
     コンちゃんには白昼夢シリーズんとこの坊主と関係あるわ
     私はいつになったら春来るんじゃい、○○! ××!」

突然暴走するリースト。
その事情を知ることになるのは、彼女がイスを一つ、壊してからになる。


時同じくして、どこかの路地裏。
ビルとビルの間、ガラの悪い連中がいた。
誰も気付いていない。

 「待てよ、こんな奴を実験の相手にすんのか?
   いくらなんでも無茶があるぞ」
 「心配するな、ちゃんと手は打ってある。
   お前は実験体をちゃんと監視してさえすればいいんだ」

誰も知らない秘密の会話。
内容は誰も知らない。
誰も知らない。
誰も気付いていない。


NEWSPAPER「『Little Courage 5』の内容に関することです。
     今作品内で、The least 100 secことリースト氏が
     作品内にて、ここでは到底発言できない台詞を発言しておりましたので
     伏せさせていただきました。
     内容も気になるでしょうが、ご了承下さい」

ゴーイング(視聴者)「伏せたところ気になるんですが、ちょっと!!
          コンマイTV、伏せるな、気になるじゃないか!!」


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