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Little Courage・その7


誰かを守ることなんて、二次元的世界、空想の中。
小説の文字に書かれているような、遠いことだと思っていた。
それがどうだ。
そんな夢のような、遠い話のシナリオに沿って
僕はこうして、大切な人を守るために戦っているんじゃないか。
…だけど、僕は何にもできてないけどね。

アンコン「バカボン、ウィルソン!」
VOIDDD「いいぞ、もっとやっちまえ!」

実際には、まぁちょっと本当に
小説の中の話みたいだけど
大切なあの人は人質に取られて、僕も本来の力を出せずに
ただ殴られ、蹴られっぱなしという状態である。
ふらふらして、立っている感覚も無くなってきた。

DD7(でもどうして、アンコンさんやマドブラさんが
    こんなことしてるんだ…?)

僕は知っている。
アンコンさんも、マドブラさんも、ヴォーイの人もこんな事をするような人じゃないってことを。
確かにこの人たちは怖い。
アンコンさんやマドブラさんとは、言葉のコミニュケーションも取れないし
ヴォーイの人だって、その声を聞くと身震いがする。
でも、本当は優しい人達なんだということを知っている。

VOIDDD「アイツの台詞は本当だったんだな。
       まさかコンマイのコンピューターでコイツと、あのガキだけが
       赤状態になれないなんてな」
DD7「…なんて…言うな」
VOIDDD「アァ? 今なんか言ったか?」
DD7「落書き帳さんをガキだなんて言うなッ!」
VOIDDD「ウルセェ!」

DD7は腹を膝で思いっきり蹴られた。
彼の体に鈍い衝撃が走って、膝がつく。

――本当はこんなこと言いたくないのに。
―――情けないなぁ…
――――あの人、一人さえも守れないなんて。

情けないや、僕って。

意識が途絶えそうになった瞬間だった。
目の前にいたアンコンが彼の右方向へ恐ろしい速度で飛んでいった。
いや、飛ばされていったのだ。

 「お前か、俺の大事な兄弟を虐めているのは」
DD7「…DD…兄ちゃん…?」

そこにいたのは、彼の兄。
DDだった。
しかし、いつもと様子が違う。
普段からそれとなく不良のようなイメージがあったが
今という時間帯はそれを超えている。
右方向に飛ばされたアンコンが彼の存在に気付いた。

DD「…お前か」
アンコン「!!」

気付いてしまった。
アンコンは体の全てから、彼の恐怖を感じる。
手が、腕が、体が、脚が、足が、本能が。
細胞の一つ一つが全て、彼の恐怖というものを感じていた。
彼の目は、ただ自分の兄弟に対して
害を与えるものという認識、冷たい視線しか投げていなかった。
そして、アンコンの目の前はプツリと真っ暗になった。

DD3「兄貴…少しは俺のことも考えてくれ…」
DD「俺に遅れているようじゃあ、まだまだ力不足だな」

遅れてDD3が息をきらしてやってきた。
ぜえぜえという声が大きく聞こえる。

DD「VOIDDDと、あのシュッシュオーイの野郎はどこに行った」
VOIDDD「クソォ! あんな最凶曲とやってられるか、逃げるぞ!」

そう言うとVOIDDDは、ポケットから丸い筒状の何かを取り出して
DDのほうに向かって投げた。
キーンという、耳鳴りする独特の音と同時に
視界が真っ白になった。


DD3「なんだよコレは! 全然見えねーよ!」
DD「軍用の閃光手投弾か、用意のいい連中だ。
   DD4、足止め任せたぞ!」

同じ倉庫街にて、DD4。
別の倉庫街の中で他の建物や倉庫より少し高い建物から。

DD2「…だってさ」
DD4「簡単に言ってくれるわね。
    DD2兄、あなたは囚われのお姫様を助けてあげて。
    今は多分、全員逃げ出しているから」
DD2「わかった」

DDからの伝言を伝えたDD2は回れ右をして、ビルの屋上から1階に続く階段を下りていった。
DD4は、右肩に乗せている、黒いバッグから何か取り出した。
取り出したのは、PSG−1、狙撃銃だ。
細かく言うと、H&K社が対テロ特殊部隊向けに同社のG3(G3SG/1)をベースに開発した、セミオートマチックの狙撃銃である。
と言っても、中身は実弾ではない。
実際には大規模な暴動、テロの鎮圧などに使われるゴム弾である。
だが、ゴムだからといって、痛くないわけではない。
これは彼女の趣味ではなく、彼女の兄、DD3の趣味であったりする。

DD4「逃がしはしないわよ」

銃を構える。よく見るとスコープがない。
いや、必要ないのだ。
彼女の目が、目標を捉えている。
そこにはかまぼこ型の倉庫の隙間を逃げるMAD BLASTがいた。

逃げるマドブラ。
彼は、彼女の目に捉えられていることを知らない。
彼が右足を前に一つ出した瞬間。
カンッ。
靴に何か当たったような音がした。
足元を見ると、黒い筒状のものが見える。
右足にある靴を見ると、靴の表面が一部白くなっていて、
白い煙がプスプスと音をたてている。

――狙われている。

彼の本能がそう言った。
一歩、二歩、後ろに後ずさる。
クルッと向きを変えて、一目散に逃げだそうとした瞬間。
鼻の頭、目の前を黒い塊が一瞬、横切った。
倉庫の壁の一部、黒い塊が埋め込まれている。
MAD BLAST、彼の鼻の頭はその黒い塊によって、一つ切り傷を増やされていた。
傷から流れる血に、彼は全く気付いていない。
当然、後ろから来る半漁人の姿をした者にも。

DD5「やっと見つけた、全く、いろんなところグルグルしちゃって…。
    面倒だったんのに…」

DD5だった。
MAD BLASTの体は、DD5の片腕によって
地面から浮き上がっていた。彼は、それにも気付いていない。
何も気付いていない、もう、あまりの恐怖に
意識があることすら、気付いていない。

VOIDDD「何てこった! アンナ最凶曲に追われるなんて!」

別の倉庫の隙間を逃げるヴォイド。
逃げられないということは分かっていても、逃げてしまう。

DD3「遅いねぇ、遅いよ」
VOIDDD「ク、来るんじゃねえ!」

振り向き、ヴォイドはDD3に黒いL字の形をしたものを向ける。
そう、銃だ。

VOIDDD「ちゃんと弾も入ってる、いいか、来たら、テメェのド弾にぶち込むぞ!!」
DD3「当たれば、の話だけどな」

DD3は、ヴォイドの言ったことなど全く気にしない様子で
一歩ずつ彼に近づいた。
ヴォイドの銃を持った手は、ガタガタ震えている。
そして、引き金が引かれた。


バァン。

響く銃声。しかし銃弾は奥にある倉庫の壁へと一直線。
DD3はヴォイドの懐に飛び込んでいた。

DD3「当たらなきゃ、意味は無いんだよ」
VOIDDD「…クソッ…」

ヴォイドは、DD3のパンチを受けた。
その一瞬で、全てを悟った。

勝てるはずなどない、この白昼夢たちに、と。


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