本当は前から感じていた。気付いていた。知っていた。

兄貴、ホワトル、ライム、そして俺。
タイプの違う四兄弟。
「肥塚良彦」というひとりの父親から、俺たちは生まれたはずだった。

青色が似合う娘と出会った。
MODEL DD4、彼女の名。
俺はエクストラ、彼女はアンコール。
この娘を守るのが、俺の使命。だから全力でプレイヤーと戦った。
「主従」という関係が終わっても、この娘を守る。その気持ちは変わらなかった。

彼女の音、俺の音。
どこか似ていた。それが親しめる要因のひとつだったのかも知れない。
しかしある時気付いた。
俺の音、似ているのは彼女だけじゃない。
彼女の姉や兄、さらには弟や妹にも似ていた。
そしてその気付きは確信になった。
俺に弟が出来た。俺に似た音、もちろん彼女にも、その兄弟にも。

俺とホワトル、父親が二人いる。
それは俺の父でもあり、彼女の父でもある。

知ってしまった。彼女に言えるわけがなかった。
俺は彼女を好いていて、彼女も俺を好いてくれるから。

「ブラホラさん…」
そう呼ぶ彼女の手を引き、俺は何かから逃げていた。
最速逃避行、なんて…俺の従姉妹の名前がそのまま当てはまる状況。
俺たちは何処へ行くのだろう。
この逃げられない現実から、どう逃げろと言うのだろう。



真実なんて何も知らなかった。

私のお父様、DAY DREAM。
私「たち」のお父様、泉陸奥彦。
この大きな大きなお父様から、私たちDDシリーズは生まれました。

今、私の手を引いてただ前に進んで行く、彼。
Black horizon…過去に数多くのプレイヤーから私を守って下さった、ただ一人の方。

アンコールであった私のため、彼は護衛としてプレイヤーと戦っていました。
私の持つ強すぎる力、それを抑えるための彼。
「強い奴をそう簡単にプレイヤーに会わせちゃいけない」
あなたはいつも、そう言ってましたね。

彼の護衛としての仕事が終わっても、彼と私の「守る・守られる」関係は続きました。
気付けばあなたはいつも近くにいました。
私は、あなたが愛しくて仕方がありませんでした。

知ってはいけない。
しかしいずれ知らなくてはいけない。
それを私は知ってしまった。

「ブラホラさん…」
私の呼び掛けに、今日のあなたは応えて下さらない。
彼は私の手を引いてただ前に進んで行く。
強く握られた手が痛い。
この痛みは、一体何処から来るのでしょう。

あなたは、何処へ行くのですか。
私は、この気持ちをどうすればいいのですか。


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